せんせーのチラ裏

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【FGO考察】レディ・ライネスの事件簿『Why done it(ホワイダニット)』を考える。

今回のイベントは、『ロード・エルメロイII世の事件簿』とのコラボレーションイベントということもあり、著者の三田誠先生描き下ろしのシナリオ。

これがかなり読み応えのあるシナリオで、間もなくシナリオも終盤に差し掛かるところだが、全く黒幕がわからない。いや、黒幕の像はなんとなくあるが、その動機がつかめずイマイチ決定打に欠ける。

この記事を書いている今は、魔神柱の制圧戦(通称:レイド戦)が終わろうかという時で、事件の真相がわかる前に個人的に考察をしておこうと思う。

 目次

Ⅰ.キーワードはWhy done it?

要所でライネスが語る「ホワイダニット

英語表記は、Why done it?(なぜやった?)

つまり、動機のことである。

サスペンスやミステリーではこのホワイダニットが肝となるため、黒幕を考える上で重要なキーワードとして心に留めながら考察していこうと思う。

本編で黒幕の動機に対して言及されていたセリフでこのようなものがあった。

エルメロイⅡ世

「私は魔術師だ。探偵ではないよ。だから言ってしまうが、この行為には、敵性より……憐憫に近い何かを感じる。」

「あくまで印象の問題だがね。必ずしも悪意だけが、人を傷つけるわけじゃない。」

「むしろ、善意だからこそ、傷つけることを躊躇しない。そんなことだってあるさ。」

 

『レディ・ライネスの事件簿』第九節「魔術師の推理」より

この発言から、黒幕は善意の犯行である可能性が高くなってきた。
これだけの文字数を割いてユーザーを混乱させるためのセリフであることは考えにくい。
今回の黒幕は善意でこの事件を起こしたものとして考察していこうと思う。

 

Ⅱ.状況証拠

特異点について

  • この特異点では、記憶を魔力に換える際のエネルギー効率がかなり高い。
  • 時系列はシャドウボーダーでカルデアを脱出した後。(※霊基トランクはカルデア陥落寸前に完成したものであるため、所持していること自体が時系列の証明になっている。)

②黒幕について

  • 人数、性別は不明。
  • その一部ないし全員は、カルデア所属の者である。
  • その一部ないし全員は、マシュの情報の一部ないし全部を知り得る者であり、マシュの所作を観察し得る者である。
  • その一部ないし全員は、主人公の情報の一部ないし全部を知り得る者である。
  • その一部ないし全員は、ダ・ヴィンチちゃんの情報の一部ないし全部を知り得る者である。

③キーワード、アイテムなど
・『少紙片』
膨大な魔力があり、記憶に侵食する性質がある。「ムネーモシュネー」と書かれている。

・『蒸気城地下の機関』
死霊を取込み、エネルギーのみを吸い上げて吐き出している。以前まで少紙片が組み込まれていた後がある。その少紙片を回収したのはエルメロイ二世。

・『自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネー
少紙片内の情報からバベッジが読み取った名前。カルデア内のシステムの名称と思われる。レイシフト先の存在証明に使用している装置か。

④主人公の状態

  • この特異点において、記憶のほとんどを忘れている。

⑤黒幕の行なった犯行について

  • マシュになりすまし、主人公の少紙片回収(記憶回収)をサポートした。
  • 小紙片を使用し、記憶回収の過程で主人公の記憶の捏造を図った。
  • とりわけ、ダ・ヴィンチちゃんに関する記憶を捏造しようとした。

 これらの状況証拠から読み取ると、黒幕はカルデアに自由に出入りすることができる状況であったことが言える。そして、マシュの喋り方や性格、主人公との関係について身近に観察できる人物でなければ、マシュになりすまし演技をすることはできない。

 また、ダ・ヴィンチの記憶をピンポイントで捏造しようとしたことから考えると、主人公とダ・ヴィンチが関わることについて、何か思う事がある人物ということになる。ここがワイダニットを考える軸となると思われる。

 少紙片内の情報から『自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネー』という名前が出てきたが、少紙片の現物にも「ムネーモシュネー」と記されていた。この「ムネーモシュネー」とは、ギリシャ神話に登場する“記憶を神格化した女神”のことをいうらしい。このような引用は往々にしてあるので核心を突くヒントになるかはわからないが、このシステムを犯行に利用したのはまず間違いないのではないか。

Ⅲ.各人の推理

①エルメロイ二世
犯人像について
「敵性より憐憫に近い何かを感じる」
「むしろ善意だからこそ傷つけることを躊躇わないことだってある」
「黒幕は何らかの形でカルデアを裏切った者ではないか」

 “憐憫に近い何か”とはなんだろう。ダ・ヴィンチに関わることで哀れに思うことといえば、人理修復後カルデア脱出の際に、大人ダ・ヴィンチが殺されたシーンが思い浮かぶ。記憶の捏造描写でもこのシーンがとりわけ大きく扱われていた。

 私見ではあるが「カルデアを裏切った者」と断定するにはまだ早いのではないか。動機次第では内部の人間の犯行も有り得る。

②ライネス
自身の記憶について
「自身をエルメロイ二世だと思い込んでいたのは、孔明の宝具によるものだろう」
小紙片について
「魔神柱を再現する際の副産物だったのではないか」

 ここらへんの推理については、正直ちんぷんかんぷんである。立ち位置に当て込むだとか、“神秘”という言葉の懐が広すぎてよくわからない。事象に対する裏付け的推理の部分だと思うのだが、ここについては深く考察していない。というよりも、理解するのに必要な知識習得から始めることになりそうなので割愛した…。

Ⅳ.気になる会話

(乙)「だからさ。こいつはAチームにとっても、最大の泣きどころなんだ」


(甲)「正直なところ、状況はまずい。いまだに敵の尻尾さえつかめていない」
(甲)「それでもね、あのキリシュタリアがいる。
    腹の中を明かしてなくても、傑物は傑物だ」
(甲)「どれほどの試練が待ち受けていようと、彼は完璧に迎え撃つだろう」


(乙)「だけど」
(乙)「こればかりは、致命的なポイントだ。
    カルデアの現行システムでは、どうしようもない」
(乙)「観測されなくなってしまえば、彼らは消滅せざるを得ない」


(甲)「でも、彼女は不完全なんだろう?」


(乙)「残念ながら、その通り。天才にも少しばかり時間が足りない」
(乙)「だから、未来に託す。時間が解決してくれることを祈ってね」
(乙)「ああ、つまりさ」


(乙)「君には結構期待してるんだぜ――――」 

 

『レディ・ライネスの事件簿』アバンタイトルより

  人物名が???で統一されていたため、誰がどの部分を喋ったのかわからないが、筆者は、1対1の会話だと感じた。会話する2人を(甲)(乙)とし、???と置き換えて記してみた。

 登場した人物名は“キリシュタリア”のみで、他は“彼女”“君”という人称代名詞が登場するのみ。「Aチーム」の呼称を使用するところをみると、キリシュタリアが過去カルデアに所属していた頃の会話であることがわかる。

 私見では、乙の最後のセリフ、ダヴィンチちゃんがどこかで主人公に言っていたセリフだったような気がしている。「天才にも少しばかり時間が足りない」の部分も「天才」は乙自身のことを指しているとすれば、実にダヴィンチちゃんらしいセリフだと思う。

 甲はセリフから読み取れる情報は多くないが、カルデアの現状を案じていること、キリシュタリアに対して信頼を置いていることから、やはり甲もカルデア側の人間であり、この会話は“敵”を迎え撃つ算段をしていたところと読み取れる。そして、乙のいう「泣きどころ」は後段の「致命的なポイント」のことであり、これがさらに後段の「観測されなくなって~消滅せざるを~」に掛かっていると読みとった。

 これは、現行のシステムでは無理でも、新しいシステムがあれば観測することができ、彼らが消滅せずに済むというところだろうか。であれば、こう読み替えることができそうだ。

 “新システムで彼らを観測し続け、存在証明し続ければ彼らは消滅しない” 

 つまりこれは、『自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネー』の話をしているところなのではないかと推測できる。

  ここまでは順当に読めるが、この後の「でも」の掛かり方が気になるところ。この「でも」の掛かる先はこの文章内だけでは全く読み取れない。2人の間でのみで通じている共通認識の上で成り立っている「でも」だと思われる。

 そして、「彼女」とは一体誰を指しているのだろうか。「不完全」という単語からデミサーヴァントであるマシュを連想したが、主人公と同じものを見て、同じものを感じ、折り合いをつけてきた彼女が、それらの記憶を勝手に捻じ曲げたりするだろうかと考えると、そんなことはしないと思う。

 

これらを総合し、以下が考察の余地のある点だと考えた。

  1. “彼女が不完全であること”は“何”と背反しているのだろうか。
  2. その“彼女”は誰を指しているのか。
  3. 対話していた“君”とは一体誰なのか。

この3点については、黒幕を何者に仮定するかによって変わってくるので、ここでは言及せずにおこうと思う。

 

Ⅴ.黒幕は誰か?

筆者は、 自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネーが黒幕だと思っている。
論理的な考察はなし。

 子供ダヴィンチ(以下、ロリンチ)は、大人ダヴィンチ(以下、ダヴィンチ)のAIを予備の素体に載せ、記憶も引き継いでいる個体であり、シャドウボーダーの制御も行っていると作中で語られていたと記憶している。これと同じ理論で、ダヴィンチのAIを自律観測型存在証明システムにも使用して運用していたのではないかと考えたからだ。アバンタイトルの会話に出てきた“彼女”とは、このムネーモシュネーに搭載されたダヴィンチAIのことを指しており、このAIがシステムとして運用するには感情的振れ幅が大きい……つまり不完全であると話していたのではないかと思う。

 自律観測型と冠されるくらいなので、自己防衛機能も備わっていると仮定すると、カルデアがコヤンスカヤらに制圧され、カルデア自体が凍結されたことを異常事態と判断し、観測情報(記憶)を第三者へ漏洩しないためにカルデアから逃亡してきたというようにも考えられる。

 “記憶”と“素体”、“サーヴァント”と“器”というような概念が今作に登場しているので、物語としてはこの方が綺麗にまとまる気がするのだ。

 プレイした体感とⅠ~Ⅳの情報、そして個人的希望を込めてこのような黒幕であると予想する。

 

Ⅵ.それで、ホワイダニットは…。

ホワイダニットについては、まったく検討がつかない。
これではフーダニット(誰がやったのか)になってしまった。

 感情のあるAIであるが故に、主人公が悲しい目に遭ってきたものを観測し続けてきたことで、主人公に哀れみ……憐憫のような感情を抱いたというようにも考えられるが、それならば、ドクター・ロマンを失った記憶を捏造しないのは何故なのか、説明が思い当たらない。

 正の記憶も負の記憶も等しくエネルギーになるのであれば、負の記憶のみをこの特異点のエネルギーに変えてしまえば、この特異点の人々と主人公がWin-Winの関係になるとAIなりに論理的に考えたとしても、やはりロマンの件が引っかかってくる。

 アバンタイトルに登場した “君” も見当がつかない。

う~ん、やはり黒幕が間違っているのだろうか…。

Ⅶ.おわりに

 筆者自身は、恥ずかしながら『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』自体は読んだことがない。ましてや、推理小説も全く読まない人間だが、今回のイベントのシナリオや少し前のイベント『虚月館殺人事件』などを通じて、少しミステリー、サスペンスに興味が湧いてきた。推理する楽しみというのは、こういうことなのかと体感することができた。まずは、ロード・エルメロイⅡ世の事件簿を読むところから始めようと思うが、このようなユーザーが頭を捻るイベントは定期的に開催して欲しいと思う。

 こうして記事を書いているうちに、レイド戦も終わりを迎えたようで、そろそろ黒幕が明かされる頃だろう。

 さて、筆者の予想当たっているのだろうか。はたまた、全く見当はずれなのだろうか。