【鮮度は度外視!】個人的総括のための『平成アニソン9選』
ツイッターやらブログやら各所でよく見かける、
「個人的平成〇〇ランキング」
自分史を振り返るにうってつけで、かつ自分の好きなものをオススメする大義名分には十分すぎるのではないだろうか。
乗らない手はない。と思った。
普段はあまり流行りものに安易に乗らないほうだ(と思う)が、変な自意識は捨てようと決心してこのブログを始めたのだ。好き勝手に書いてみよう。なんたってインターネットは自由だもの。
さて、では、筆者だったらどんなランキングを書くだろう。
好きなものたくさんあるよ。筆者の好きのハードルは低い。
やっぱり一番に思いつくのは、音楽。
決して、広浅に聞いているわけではないので、非常にニッチなところにしか刺さらない顔ぶれになると思う。
そして、音楽に順位なんてつけられない!!
ので、ランキングではなくて“選”で紹介していくスタイルにした。
では、「個人的総括のための平成アニソン9選」スタート!
『個人的総括のための平成アニソン9選』
- 01.『とまどい→レシピ/みかくにんぐッ!』
- 02.『ドラマチックマーケットライド/北白川たまこ(洲崎綾)』
- 03.『恋愛したいっ!/藤女生徒会執行部』
- 04.『青空のラプソディ/fhána』
- 05.『マシュバルーン/悠木碧』
- 06.『面影ワープ/nano.RIPE』
- 07.『恋はみずいろ/七咲逢(CV.ゆかな)』
- 08.『PUNCH☆MIND☆HAPPINESS/Happy Clover(花守ゆみり,白石晴香,安野希世乃,山村響,吉岡茉祐)』
- 09.『おジャ魔女カーニバル/MAHO堂』
- 10.おわりに
01.『とまどい→レシピ/みかくにんぐッ!』
TVアニメ『未確認で進行形』ノンテロップOP映像 「とまどい→レシピ/みかくにんぐッ!」
みんな大好き「動画工房」制作のアニメ『未確認で進行形』のOP。
作詞・作曲・編曲は『メランコリック』等で有名なボカロP・Junky。
アニメで使用される1番はギター・ベース・ドラムのバンドの基本的な楽器構成の曲なんだけど、この曲は実は2番から編曲アレンジがガラッと変わる。
もうAメロ頭からチップチューン(ファミコン音源みたいなピコピコ)全開!ここらへんを使うのって、ボカロ界隈のクリエイターの特徴であり、良さだよなぁと思う。キャッチーのためだったらなんでもやるっていう節操のなさ。素晴らしいと思う!こういうにぎやかなアレンジが筆者のツボを刺激しまくりなのだ。
この曲はBメロ~サビに行くまでの流れがすごくドラマチックで、自然とテンションが上がるのでとっても好き。ポップスのアレンジに入れがちなストリングス(ヴァイオリンとか)も入っているけど、前に出すぎないようにバンドサウンドの後ろでこっそり鳴っているってところも個人的にグッとくるポイント!
ダンサブルな曲だからフェスとかでやったら絶対マッチすると思うんだけど、誰かカバーしないかなぁ。
02.『ドラマチックマーケットライド/北白川たまこ(洲崎綾)』
みんな大好き「京都アニメーション」制作のアニメ『たまこまーけっと』のOP。
一聴してわかるとおり、超オシャレ。
この曲がたまこまーけっと本編のイメージを決定付けたと言ってもいいくらい強烈な個性の輝く曲だと思う。
というか、洲崎さんの歌声むっちゃ可愛い。
コーラスとかトランペットとかもろもろのアレンジから渋谷系(ピチカート・ファイブとかCymbals)の遺伝子をすげー感じる。
と思ったら、編曲・宮川弾 氏は、バリバリ渋谷系のミュージシャンだった。
一時、ひっそりと現れた“アキシブ系”(秋葉原×渋谷)を今の空気感でやったらこうなったって感じなのかな。
曲自体もタイトルどおりに、ドラマチックで疾走感(ライド感)のある曲になっているなぁと思う。
アニソンってすごいね。いろんなジャンルの音楽を内包できる懐の深さがある。
渋谷系いいよ渋谷系。
幼いころ聞いてた「慎吾ママのおはロック」も渋谷系。
小倉優子がやったスクランの曲も渋谷系。
ヒャダインも多分、渋谷系。
03.『恋愛したいっ!/藤女生徒会執行部』
読み方は、 “らぶしたい” である。
そして、この曲を聞いたアニメファンの諸君。
言いたいことはわかるぞ。
「むっちゃ、みなみけ」
そのとおり。
この曲は、みんな大好き「動画工房」制作のアニメ『恋愛ラボ』のOPだが、監督・シリーズ構成・音響監督と座組がまるで『みなみけ』。
そういう発注だったのだろう。グッジョブ。
ではなぜ、筆者は『経験値上昇中☆』ではなくて『恋愛したいっ!』を選んだのかというと、
ズバリ、サビへの入り方である。
この曲中で最も高い音が、ほぼほぼ1小節分もフライングして飛んでくるのだ。気持ち良いに決まってる。
曲全体としてもシンコペーションやらキメやらが多いのも気持ちよくてどストライクなのだ。
そういう意味では、ここ数年のトレンドに合わせてアップデートされた「経験値上昇中☆」という見方もできるかもしれない。
04.『青空のラプソディ/fhána』
みんな大好き「京都アニメーション」制作のアニメ『小林さんちのメイドラゴン』のOP。
サビの開放感がとても素敵。なんて多幸感のある曲なんだろうか。
曲の構成がすごく練られてる気がしてて、オーディエンスのボルテージが徐々に上がるように丁寧に作り上げられているように思う。
踊りだしたくなっちゃうようなビートだし、もの凄いキャッチーでフレーズが耳に残る。
ライブの終盤にこの曲演られたら泣いちゃうよ。
なにこの必殺技みたいな曲。バケモノか!
この曲に筆者のハイレゾヴァージンを奪われました。
05.『マシュバルーン/悠木碧』
みんな大好き、声優・悠木碧さんのミニアルバム『トコワカノクニ』に収録されている。
このアルバムがとにかくすごい!!
全6曲で使用されている音すべてが “声”
それ以外の音はなし。
楽器を使用せずに声1つで、こんなにも個性的な世界観を表現できるのは本当に驚く。声優ってすごい。
声優アーティストしかできないことを突き詰めていくとこんなところまで来てしまうのかと驚かされること間違いなし。
全くの新しい試みだと思うし、相応に斬新なものが出来上がったと思う。
そして、この曲は絶対に歌手では成立し得ない。
演技派声優だからこその傑作だと言える。
是非とも、イヤホン・ヘッドホンで聴いてほしい。
06.『面影ワープ/nano.RIPE』
nano.RIPE『面影ワープ』Music Video(Full Ver.)
みんな大好き「P.A.WORKS」制作のアニメ『花咲くいろは』の後期OP。
イントロのクリーントーンなギターリフがもう既に夏休みのワクワク感に溢れている。筆者はもうこの時点でさながらジュブナイル映画の主人公の気持ち。「うわぁぁぁーー!!」と駆け出したくなるアオハルな瑞々しさ。そんな魅力に溢れた曲なのだ。
イントロからウズウズしていると開口一番聞こえてくるのは、
地平線をなぞるように
空と地球(ほし)を繋いでる雲が
ぼくの住むこの街をぐるりと囲った
夢うつつの昼下がりに
『面影ワープ』Aメロ頭より
ほら、もう筆者と同じ気持ち。
ここではないどこかしか見てない。
でもね、この曲の主人公は、“アオハルな子” ではないのです。
注ぐ蝉時雨 追いかけてたカブトムシ
溶けたアイスキャンディ 巻き戻る記憶
『面影ワープ』1番サビより
夏に見とれてた ふたり歩いた帰り道
二度と戻ることはない でも消えない模様
『面影ワープ』ラスサビより
そう、 大人になったぼくら なのです!!!
「こんな青春だったなぁ」
「こんな青春過ごしたかったなぁ」
大人なら誰しも銘々の思いを馳せたことでしょう。
そんな僕ら向けの曲で、筆者は胸がキュっとするのです。
俗っぽい言いかただけど「尊い」とはこういうことなのかなと。
アニメの内容とも相まって、とても素敵なノスタルジーを感じれる曲になっている思う。
是非とも御一聴あれ。
07.『恋はみずいろ/七咲逢(CV.ゆかな)』
みんな大好き「アマガミ」のヒロイン・七咲逢のキャラクターソング。
なにこのスリリングなキャラソン!
というか、この曲のジャンルなんていうの!?教えて偉い人!?
カッティングギターのリフと音作りはどことなくシティポップぽさがあるけど、旋律は情熱的で訴えてくるものがあるというか。とにかくムードあり過ぎでは!?
この曲を挙げた理由は、単純に七咲逢ちゃんが大好きというのもあるんだけど、この曲、キャラソンの中でも結構異質な存在だよなぁと思う。
キャラソンって、そのキャラクターが歌っている独自性みたいなものを出すために、パーソナルな内容で口語的な歌詞だったりして野暮ったいことが多いんだけど、この曲にはそれがない。
おそらく、歌詞が短いセンテンスの連鎖と抽象的な表現で構成されているのが、曲と言葉の温度感のバランスを取っているのではないかと思う。
アレンジもコーラスワークがあざとい!
ホント、ゆかなさん素敵な声してるよなぁ~。
曲自体はサビ前にブレイクがあったりして、一聴すると派手な構成なんだけどどこか落ち着いた大人の雰囲気が漂ってるんだよねぇ。
ウィスキー片手に間接照明のバーで聴きたい。
アマガミのキャラソンは総じてキャラソン特有の野暮ったさが少なめなんだけど、この曲は群を抜いて名曲だと思う。このキャラソンアルバムは本当にオススメ。是非、手にとってみてほしい。
そしてまた、七咲ルートをプレイしたくなるのであった…。
08.『PUNCH☆MIND☆HAPPINESS/Happy Clover(花守ゆみり,白石晴香,安野希世乃,山村響,吉岡茉祐)』
みんな大好き「SILVER LINK」制作のアニメ『あんハピ♪』のOP。
この曲、筆者のような素人にはわからない、ものすごく高度なことをしているように感じる。
なんだろう、一瞬たりともクールダウンするパートがない。1曲通して飽きない仕掛けがずーっと続いているというか。スカの小気味のよいAメロから、突然Bメロではベース楽器がウッドベースにチェンジ、ジャジーな雰囲気と花守さんの脳味噌が蕩けそうなボイスがなんとも。
それと、この曲もしかしてむちゃくちゃ転調繰り返してる?
筆者の耳には転調してる箇所は数えるほどしかわからないんだけど、1曲通してずーーっと気持ちの良い違和感が続いてるのは、きっと気づかないうちに転調しているのでは?と考えた。教えて偉い人、詳しい人!
作曲・編曲は、アイマス曲等でお馴染みのクリエイター集団「MONACA」の、田中秀和さん。作詞は、言わずと知れた名作詞家・畑亜貴先生。
なるほどなぁ~という座組。
畑先生はもちろんのこと、この田中秀和さんが書く曲というのがことごとく名曲なのだ。是非、Wikipediaを覗いて欲しい。あなたの好きなあの曲この曲、それ、田中秀和さんの作編曲なんです。
とにかく、この曲についての感想を一言にまとめると、
「何か、もの凄い技で作られた、最強・最高峰のポップソング」
といったところだろうか。
09.『おジャ魔女カーニバル/MAHO堂』
↑は、i☆Risのカバー音源。
もはや説明不要の名曲。この曲の持つパワーはすごい!
頭からケツまで全部メロディが良い!
筆者、体調・コンディションによっては、この曲を口ずさんだだけで涙が出ます!(冗談抜きで)
なんだろう。琴線に触れるのよなぁ…。
あ、あとね、アニサマでi☆Risとスフィアの10人でカバーした映像見るとむちゃくちゃアニサマ行きたくなるよ。マジで。
それはさておき、この曲はちゃんと聴くと、キャッチーに聞こえる工程を丁寧に踏んでいることがわかるので、幼児アニメの主題歌を侮るなかれ。
Aメロの「ドッキリドッキリドンドン」とか「ビックリビックリビンビン」なんて歌詞からは、意味よりも語感やリズムを重視していることがまずわかる。
Aメロの後半の歌詞では「きっと毎日が日曜日(bi)」「学校の中に遊園地(ti)」と、同じメロディのケツで、同じ母音を置く【韻を踏む】という技術を使うことで説得力を生んでいる。HIP-HOP(ラップ)でよく使用される技術である。
サビのフレーズでいうと「テストで3点(santen)」「笑顔は満点(manten)」なんて、意味としても通っているし、譜割にもバッチリハマっている奇跡のワンフレーズ。
(「テスト“は”3点」にしないあたりも、韻のマンネリを防いでいて韻に意識的であることがわかる)
そして、1番歌詞と2番歌詞で韻を踏んでいるところもある。
1番サビ「大きな声で(o,o,ki,na,ko,e,de)ピリカピリララ」
2番サビ「お空に響け(o,so,ra,ni,hi,bi,ke)ピリカピリララ」
この韻を踏む技術は、一曲通して相当数散りばめられている。
他にもたくさんあるから探してみてね。
なぜだかこの曲、口ずさみたくなるでしょ?
それ、術中にハマっているのです。
BPM(曲の速さ)も昨今のアニソンと並べて違和感ないし、アレンジも4つ打ちの所謂“ノれる”という意味では、時代にマッチしている。
踊ってない夜を知らないロキノンヘッズ達も、ひたちなかでブチ上がること間違いなしである。
10.おわりに
いやー、好きなものについて自由に書くって気持ちがいいね!
音楽なんて自分のために聴くものだし、この曲のココが良い!なんて他人に話すことなんてないから、やんわりと思っていたことを言葉に変換することで、新しい気づきがたくさんあった。個人的収穫のある9選だったと思う。
ちなみに好きな曲は、何曲あったかな?
全部が大好きなそこのあなた。
結婚しよう!!
【レディライネスの事件簿答え合わせ】【新イベントとFGOの持つソーシャル性】などについて。
く【カルデア広報局より】
— 【公式】Fate/Grand Order (@fgoproject) 2019年5月10日
期間限定ロード・エルメロイⅡ世の事件簿×Fate/Grand Orderコラボレーションイベント「レディ・ライネスの事件簿」は、明日5月11日(土)12:59で終了となります。ぜひ最後までイベントをお楽しみください! #FGO pic.twitter.com/EWQPNb8y6k
イベント『レディ・ライネスの事件簿』が、5月11日(土)の12時59分をもって終了となった。シナリオの続きが読みたくてしょうがないイベントだった。イベントの難易度が高くなるよりも、シナリオに読みごたえがある方が楽しいね。
さて、シナリオの考察をしたならば、その答え合わせをしなければならないね。
黒幕はやはり、自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネーだった。
そして肝心のホワイダニットは……
“創造主の期待に応え、完璧な存在になりたかった”
目覚めたときには既に創造主は死んでいた。
Aチームも自らの敵として立ちはだかっていた。
絶望した。
その絶望の中にも光を見出した。
創造主を喪失した事による悲しみを癒やす。
創造主への弔いとして。
カルデアのマスターの悲しみを癒やす。
これが観測する者としての存在価値であり、自らをそのように証明する。
こんなところだろうか。
これならば、ロマンの記憶に干渉しなかった理由もよくわかる。
あくまで、ムネモちゃんはダヴィンチの想いを尊重する形で、自身の存在を全うしようとしたということだと思う。
今回のイベントで入手できるコマンドカードの解説が沁みる。
Fate/Grand Orderアプリより引用
そしてまた、次のイベントが始まるのです。
【カルデア広報局より】
— 【公式】Fate/Grand Order (@fgoproject) 2019年5月15日
2019年5月15日(水)18:00より期間限定イベント「惑う鳴鳳荘の考察」を開催!
サーヴァントたちと共に未完の映画を完成させよう!詳しくは→https://t.co/doDIRCqRnE #FGO pic.twitter.com/ebxs0IjZou
テレゴングかよ!
虚月館殺人事件と同様にシナリオが時限開放となっており、後半に投票期間が設けられている。
しかし、今回は虚月館とは趣向が違う。
先の展開を予想するイベントではなく、先の展開を作るイベントである点が新しい。
これまた面白そうなイベントが来てしまった……。
リアルでアレコレ考察しながら語りたい。
最近のFGOコンテンツには、こういった“共有する楽しみ”がかなり盛り込まれている気がする。
これは前々から思っていたことなのだが、Fate/Grand Orderというゲームは、ノベルゲームという非常にクラシックな型のアプリでありながら、リアルを巻き込む力が凄い。
シナリオの考察をアレコレ話す楽しみはもちろんのこと、オフ会で聖晶石召喚を皆で行う“聖杯戦争”でガチャ結果に一喜一憂してみたり、「うちのカルデア」という概念で自分の庭をデザインし「よそのカルデア」と比較してみたり。ユーザーが集うフェス、そして挙句の果てには、リアル脱出ゲームや大サーカスときた。
個で向き合うアプリでありながら、このソーシャル性を持ち合わせているFGOは、プレーヤーの周囲の人間を巻き込みやすいコンテンツなのだ。売上ランキングのトップを取り続ける理由もうなずける。
今回のイベント『惑う鳴鳳荘の考察』もこのソーシャル性を十二分に持ち合わせている気がしている。非常に先が楽しみだ。
FGOの首脳陣、今回のイベントといい最近のメディアミックスといい、このソーシャル性を意識して企画・開発しているのではないだろうか。
運営、恐ろしや……。
ワクワクをありがとう。
【FGO考察】レディ・ライネスの事件簿『Why done it(ホワイダニット)』を考える。
【カルデア広報局より】
— 【公式】Fate/Grand Order (@fgoproject) 2019年4月27日
4月27日(土)21:00よりロード・エルメロイⅡ世の事件簿×Fate/Grand Orderコラボレーションイベント「レディ・ライネスの事件簿」を開催!
イベント限定の「★4(SR)グレイ」をゲットしよう!詳しくは→https://t.co/BbZWBy7Stc #FGO pic.twitter.com/YgwbNfxa6G
今回のイベントは、『ロード・エルメロイII世の事件簿』とのコラボレーションイベントということもあり、著者の三田誠先生描き下ろしのシナリオ。
これがかなり読み応えのあるシナリオで、間もなくシナリオも終盤に差し掛かるところだが、全く黒幕がわからない。いや、黒幕の像はなんとなくあるが、その動機がつかめずイマイチ決定打に欠ける。
この記事を書いている今は、魔神柱の制圧戦(通称:レイド戦)が終わろうかという時で、事件の真相がわかる前に個人的に考察をしておこうと思う。
目次
Ⅰ.キーワードはWhy done it?
要所でライネスが語る「ホワイダニット」
英語表記は、Why done it?(なぜやった?)
つまり、動機のことである。
サスペンスやミステリーではこのホワイダニットが肝となるため、黒幕を考える上で重要なキーワードとして心に留めながら考察していこうと思う。
本編で黒幕の動機に対して言及されていたセリフでこのようなものがあった。
エルメロイⅡ世
「私は魔術師だ。探偵ではないよ。だから言ってしまうが、この行為には、敵性より……憐憫に近い何かを感じる。」
「あくまで印象の問題だがね。必ずしも悪意だけが、人を傷つけるわけじゃない。」
「むしろ、善意だからこそ、傷つけることを躊躇しない。そんなことだってあるさ。」
『レディ・ライネスの事件簿』第九節「魔術師の推理」より
この発言から、黒幕は善意の犯行である可能性が高くなってきた。
これだけの文字数を割いてユーザーを混乱させるためのセリフであることは考えにくい。
今回の黒幕は善意でこの事件を起こしたものとして考察していこうと思う。
Ⅱ.状況証拠
①特異点について
- この特異点では、記憶を魔力に換える際のエネルギー効率がかなり高い。
- 時系列はシャドウボーダーでカルデアを脱出した後。(※霊基トランクはカルデア陥落寸前に完成したものであるため、所持していること自体が時系列の証明になっている。)
②黒幕について
- 人数、性別は不明。
- その一部ないし全員は、カルデア所属の者である。
- その一部ないし全員は、マシュの情報の一部ないし全部を知り得る者であり、マシュの所作を観察し得る者である。
- その一部ないし全員は、主人公の情報の一部ないし全部を知り得る者である。
- その一部ないし全員は、ダ・ヴィンチちゃんの情報の一部ないし全部を知り得る者である。
③キーワード、アイテムなど
・『少紙片』
膨大な魔力があり、記憶に侵食する性質がある。「ムネーモシュネー」と書かれている。
・『蒸気城地下の機関』
死霊を取込み、エネルギーのみを吸い上げて吐き出している。以前まで少紙片が組み込まれていた後がある。その少紙片を回収したのはエルメロイ二世。
・『自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネー』
少紙片内の情報からバベッジが読み取った名前。カルデア内のシステムの名称と思われる。レイシフト先の存在証明に使用している装置か。
④主人公の状態
- この特異点において、記憶のほとんどを忘れている。
⑤黒幕の行なった犯行について
- マシュになりすまし、主人公の少紙片回収(記憶回収)をサポートした。
- 小紙片を使用し、記憶回収の過程で主人公の記憶の捏造を図った。
- とりわけ、ダ・ヴィンチちゃんに関する記憶を捏造しようとした。
これらの状況証拠から読み取ると、黒幕はカルデアに自由に出入りすることができる状況であったことが言える。そして、マシュの喋り方や性格、主人公との関係について身近に観察できる人物でなければ、マシュになりすまし演技をすることはできない。
また、ダ・ヴィンチの記憶をピンポイントで捏造しようとしたことから考えると、主人公とダ・ヴィンチが関わることについて、何か思う事がある人物ということになる。ここがワイダニットを考える軸となると思われる。
少紙片内の情報から『自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネー』という名前が出てきたが、少紙片の現物にも「ムネーモシュネー」と記されていた。この「ムネーモシュネー」とは、ギリシャ神話に登場する“記憶を神格化した女神”のことをいうらしい。このような引用は往々にしてあるので核心を突くヒントになるかはわからないが、このシステムを犯行に利用したのはまず間違いないのではないか。
Ⅲ.各人の推理
①エルメロイ二世
犯人像について
「敵性より憐憫に近い何かを感じる」
「むしろ善意だからこそ傷つけることを躊躇わないことだってある」
「黒幕は何らかの形でカルデアを裏切った者ではないか」
“憐憫に近い何か”とはなんだろう。ダ・ヴィンチに関わることで哀れに思うことといえば、人理修復後カルデア脱出の際に、大人ダ・ヴィンチが殺されたシーンが思い浮かぶ。記憶の捏造描写でもこのシーンがとりわけ大きく扱われていた。
私見ではあるが「カルデアを裏切った者」と断定するにはまだ早いのではないか。動機次第では内部の人間の犯行も有り得る。
②ライネス
自身の記憶について
「自身をエルメロイ二世だと思い込んでいたのは、孔明の宝具によるものだろう」
小紙片について
「魔神柱を再現する際の副産物だったのではないか」
ここらへんの推理については、正直ちんぷんかんぷんである。立ち位置に当て込むだとか、“神秘”という言葉の懐が広すぎてよくわからない。事象に対する裏付け的推理の部分だと思うのだが、ここについては深く考察していない。というよりも、理解するのに必要な知識習得から始めることになりそうなので割愛した…。
Ⅳ.気になる会話
(乙)「だからさ。こいつはAチームにとっても、最大の泣きどころなんだ」
(甲)「正直なところ、状況はまずい。いまだに敵の尻尾さえつかめていない」
(甲)「それでもね、あのキリシュタリアがいる。
腹の中を明かしてなくても、傑物は傑物だ」
(甲)「どれほどの試練が待ち受けていようと、彼は完璧に迎え撃つだろう」
(乙)「だけど」
(乙)「こればかりは、致命的なポイントだ。
カルデアの現行システムでは、どうしようもない」
(乙)「観測されなくなってしまえば、彼らは消滅せざるを得ない」
(甲)「でも、彼女は不完全なんだろう?」
(乙)「残念ながら、その通り。天才にも少しばかり時間が足りない」
(乙)「だから、未来に託す。時間が解決してくれることを祈ってね」
(乙)「ああ、つまりさ」
(乙)「君には結構期待してるんだぜ――――」
『レディ・ライネスの事件簿』アバンタイトルより
人物名が???で統一されていたため、誰がどの部分を喋ったのかわからないが、筆者は、1対1の会話だと感じた。会話する2人を(甲)(乙)とし、???と置き換えて記してみた。
登場した人物名は“キリシュタリア”のみで、他は“彼女”“君”という人称代名詞が登場するのみ。「Aチーム」の呼称を使用するところをみると、キリシュタリアが過去カルデアに所属していた頃の会話であることがわかる。
私見では、乙の最後のセリフ、ダヴィンチちゃんがどこかで主人公に言っていたセリフだったような気がしている。「天才にも少しばかり時間が足りない」の部分も「天才」は乙自身のことを指しているとすれば、実にダヴィンチちゃんらしいセリフだと思う。
甲はセリフから読み取れる情報は多くないが、カルデアの現状を案じていること、キリシュタリアに対して信頼を置いていることから、やはり甲もカルデア側の人間であり、この会話は“敵”を迎え撃つ算段をしていたところと読み取れる。そして、乙のいう「泣きどころ」は後段の「致命的なポイント」のことであり、これがさらに後段の「観測されなくなって~消滅せざるを~」に掛かっていると読みとった。
これは、現行のシステムでは無理でも、新しいシステムがあれば観測することができ、彼らが消滅せずに済むというところだろうか。であれば、こう読み替えることができそうだ。
“新システムで彼らを観測し続け、存在証明し続ければ彼らは消滅しない”
つまりこれは、『自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネー』の話をしているところなのではないかと推測できる。
ここまでは順当に読めるが、この後の「でも」の掛かり方が気になるところ。この「でも」の掛かる先はこの文章内だけでは全く読み取れない。2人の間でのみで通じている共通認識の上で成り立っている「でも」だと思われる。
そして、「彼女」とは一体誰を指しているのだろうか。「不完全」という単語からデミサーヴァントであるマシュを連想したが、主人公と同じものを見て、同じものを感じ、折り合いをつけてきた彼女が、それらの記憶を勝手に捻じ曲げたりするだろうかと考えると、そんなことはしないと思う。
これらを総合し、以下が考察の余地のある点だと考えた。
- “彼女が不完全であること”は“何”と背反しているのだろうか。
- その“彼女”は誰を指しているのか。
- 対話していた“君”とは一体誰なのか。
この3点については、黒幕を何者に仮定するかによって変わってくるので、ここでは言及せずにおこうと思う。
Ⅴ.黒幕は誰か?
筆者は、 自律観測型存在証明システム・ムネーモシュネーが黒幕だと思っている。
論理的な考察はなし。
子供ダヴィンチ(以下、ロリンチ)は、大人ダヴィンチ(以下、ダヴィンチ)のAIを予備の素体に載せ、記憶も引き継いでいる個体であり、シャドウボーダーの制御も行っていると作中で語られていたと記憶している。これと同じ理論で、ダヴィンチのAIを自律観測型存在証明システムにも使用して運用していたのではないかと考えたからだ。アバンタイトルの会話に出てきた“彼女”とは、このムネーモシュネーに搭載されたダヴィンチAIのことを指しており、このAIがシステムとして運用するには感情的振れ幅が大きい……つまり不完全であると話していたのではないかと思う。
自律観測型と冠されるくらいなので、自己防衛機能も備わっていると仮定すると、カルデアがコヤンスカヤらに制圧され、カルデア自体が凍結されたことを異常事態と判断し、観測情報(記憶)を第三者へ漏洩しないためにカルデアから逃亡してきたというようにも考えられる。
“記憶”と“素体”、“サーヴァント”と“器”というような概念が今作に登場しているので、物語としてはこの方が綺麗にまとまる気がするのだ。
プレイした体感とⅠ~Ⅳの情報、そして個人的希望を込めてこのような黒幕であると予想する。
Ⅵ.それで、ホワイダニットは…。
ホワイダニットについては、まったく検討がつかない。
これではフーダニット(誰がやったのか)になってしまった。
感情のあるAIであるが故に、主人公が悲しい目に遭ってきたものを観測し続けてきたことで、主人公に哀れみ……憐憫のような感情を抱いたというようにも考えられるが、それならば、ドクター・ロマンを失った記憶を捏造しないのは何故なのか、説明が思い当たらない。
正の記憶も負の記憶も等しくエネルギーになるのであれば、負の記憶のみをこの特異点のエネルギーに変えてしまえば、この特異点の人々と主人公がWin-Winの関係になるとAIなりに論理的に考えたとしても、やはりロマンの件が引っかかってくる。
アバンタイトルに登場した “君” も見当がつかない。
う~ん、やはり黒幕が間違っているのだろうか…。
Ⅶ.おわりに
筆者自身は、恥ずかしながら『ロード・エルメロイⅡ世の事件簿』自体は読んだことがない。ましてや、推理小説も全く読まない人間だが、今回のイベントのシナリオや少し前のイベント『虚月館殺人事件』などを通じて、少しミステリー、サスペンスに興味が湧いてきた。推理する楽しみというのは、こういうことなのかと体感することができた。まずは、ロード・エルメロイⅡ世の事件簿を読むところから始めようと思うが、このようなユーザーが頭を捻るイベントは定期的に開催して欲しいと思う。
こうして記事を書いているうちに、レイド戦も終わりを迎えたようで、そろそろ黒幕が明かされる頃だろう。
さて、筆者の予想当たっているのだろうか。はたまた、全く見当はずれなのだろうか。